哀愁のブラサガリ

だれでも年は取りたくないものだ。

でも、実際の生活の中で、

“自分は本当に老いた”と

実感する瞬間はあんまりないかもしれない。

自分の体力を試す事がないからだろう。

でも、その瞬間は突然やってくる。

ふとした事から、自分の子供と

公園のぶら下がり健康器で、

懸垂対決をした。

子供が8回、

私は、高校時代はラグビー部

大学時代はアイスホッケー部

体育会系だ。

“8回なんて余裕”

なはずだ…。

 

“0回”

 

なんと、

私は自分の身体を一回も上げる事ができなかった。

“ここまで老いたとは…”

自分の人生の中で

まさか懸垂が一回も出来なくなる日がくるなんて

想像もしていなかった…。

 

夕闇の中に、鉄棒に垂れ下がる無様な中年、

哀愁を通りこして“痛い”。

 

私の人生ではじめて体重が80kgを超えていた。

 

かくして、私のダイエット生活は始まった。

現在、私の体重は、三ヶ月で72kgになった。

 

病院帰りの公園で懸垂をやってから

家に帰る日々だ。

 

今日は16回できた。

まだ、若き日の体力には届かない。

人は、“年寄りの冷や水”と揶揄するかもしれない。

でも、私は、夕闇の公園で懸垂を続ける。

 

 

なぜなら、理想の私は片手懸垂ができるはずだからだ。