その他の薬物療法

 子宮内膜症の発生には、大きく二つの女性ホルモンが関わっています。

 まず、エストロゲンです。(このホルモンは、女性らしさを作るホルモンですが)医学的には、このホルモンは子宮内膜の増殖を促すので、その産生量が多くなる程、子宮内膜症は増悪します。逆に、このホルモンが無くなると子宮内膜症も無くなります。

 

 次に、プロゲステロンですこのホルモンは、子宮内膜の性質を変化させることによって、その増殖を抑え、内膜を薄くします。

 

 したがって、子宮内膜症の再発を防ぐためには、単純に言えばエストロゲンを減らして、プロゲステロンを増やせばいいのです。

 

 ならば、生理を止めてエストロゲンを無くしてしまえばいいのかというとそうではありません。最初にも述べたように、エストロゲンは、女性らしさを作るホルモンです。それ以外にも、このホルモンがないと骨粗鬆症を起こしてしまいます。したがって、必要最小限のエストロゲンは欲しいのです。

 

 従って、子宮内膜症の再発予防のために必要なのは、女性らしさ(健康)を維持する最小限のエストロゲンの分泌、あるいは投与と持続的なプロゲステロンの投与です。

 

それらを可能にするのが、

① 低容量ピル (ルナベル、ヤーズ等)

② ジエノゲスト (ディナゲスト)

 

 

 

 

ジエノゲスト(ディナゲスト)

 ジエノゲスト(ディナゲスト)は、今、最も注目を集めている薬です。というのは、低容量ピル内服による血栓症の発生がニュースで話題になったため、最近は、血栓症の発生の心配が殆んど増加しないジエノゲストにさらに人気が出てくるからです。

 

 この薬は、プロゲステロンの一種です。したがって、上で示したように、内服する事により、子宮内膜(病変)が萎縮します。そして、さらに、エストロゲンの分泌も抑制します。そして何と、エストロゲンの産生を完全に抑制するのではなく、女性らしさを保つのに最低限必要なエストロゲンの産生能は維持させるのです。なんと、都合の良い薬でしょう!

 

 ただし、欠点もあります。

それは、

  1. 値段が高い 一日、二錠内服、三割負担の保険で、月8500円程かかります(低容量ピルは2000円ちょっとです)
  2. 内服中の不正出血が多い(30-60%)
  3. たまに、うつ症状等

 この中で、特に気になるのは、値段です。この薬は、二年以上内服する事も珍しくありません。金銭的な負担はかなりのものでしょう。(ちなみに、一日、一錠にするという方法もあります:値段が半分に、ただし、不正出血がが少し増えると思われる)

 

 この薬を途中で辞めてしまう原因の3割位の原因が、不正出血です。最近は、GnRHa(リュープリン等)の生理を完全に止める薬を最初に4−6ヶ月実施してから、ジエノゲストを内服すると不正出血の量が減る事が解ってきました。

 

 

 

 

続き…